原忠順宛原澤子書簡 / A letter from Hara Sawako to Hara Tadayuki

返事にて
何れ其内皆様ニ御文差申
にて候間何卒左様皆様ニ
御伝え候被下度

久しく御伺も申上ず
御無礼ニ打すぎまこと
に御申訳之なくござ候ト得
ば家内皆様御壮健ニ
てましますれど先日は健
さま又々御病気御再発殊
に試験中ニ之ありし由さぞ
かし御なんじふ遊せ
御事ならんと察しとかく
御病気中とは申しながら
四番之席を御しめ遊
されし由上席にておち
なければ病気之身を思へ
*者*まことに好結果と申
可く之れより二年へ御入
り遊されて御勉強遊候
にてたえず直ニ上席を得
与の所候間余り御失望遊
されぬ様願上奉り候里子
再そのままも御耳(滋ヵ)愛として
二年生ニ御成り遊されし
由まことニ御目出度幾度
にも御祝申上奉り候
扨て私事も今月五日迄にて
大試験相すみ二十一日迄休
業にて候此度の試験はさ□
之□□賣出しより甚だや
すく番号ニて申さば三番
位の處ニて候然るに承知の
通り撰科二て候故番号を付カ
ず候御母上様初*者*番号を望
まれ候故其時は三番と御申
被下可く願上候
迄番*者*未〔いま〕だ試験が出ぬ政努
らざれども内々先生より
聞きしものヽみ申上可く
くわしき事を後更ニ申上可
く候
番学100鉱物100生理100地文90
地理90漢学100和画90洋画98習字
習字95経済〔ケイザイ〕90具余は未だ分から
ず候間後便ニ譲り申候
扨て来月より(なぎなた)を(セロ)と
姉上も明友。先生皆進め候間相
始め度候間如何ニ候也御父上様
ニ御伺迄申上候
時に明友から(なぎなた)を(ひま)の
トキ習迄居り候處皆々御ほめ候
おどりを改したものを(なぎ
なた)も能く出来るとか申す事ニ
て候
去る七日*者*小石川後楽園ニ於て
明治女学校大親睦会之
あり甚だ面白事*ニ而*朝八時よ
り午後六時迄ニて候*より*処ノ具
時*者*隙送り被下承し(きな)八丈
一(かす利)を着き申候處皆
口実ニ奇麗だと着物を御
ほめ候間左様御母上様ニ御
謹言被下度候
申上度き事*者*山々に御座候得
共先*者*筆止め申上候
四月九日朝
御父上様
さわ子
御まへ
東京之上野あたりの□(桜ヵ)早
ひがんをこへ*より*満開致し居り候
御地の松蔭の桜は如何ニ候也

最終更新日 / last updated date

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『原忠順宛原澤子書簡』原忠順文庫HA141(琉球大学附属図書館所蔵), https://shimuchi.lib.u-ryukyu.ac.jp/collection/hara_tadayuki/ha14101