証文〔屋敷譲渡証文〕(しょうもん) / Deed (Transfer of real estate ownership)

證文
屋敷壱囲長弐拾壱尋横東表拾壱尋西表拾弐尋
但代米拾俵先
右*者*自分上納米并人々*江*之負荷太分有之候處弁償方
礑*与*差支候付但書之代米*ニ而*慥*ニ*賣上切仕申候
右式及當迫蒙御助候付*而者*子孫々*ニ*至り取帰之企
毛頭申上間敷候仍*而*證文如件
同治拾四亥年 大川村松茂氏故石垣仁屋嫡子
六月 具志仁屋[印]
右通慥*ニ*賣上申候若於後年取帰之企有之候ハヾ
右者居屋敷并私共居屋敷之間より御望次第
一言無口能可被押取候以上
同治拾四亥年 口入故佐久川親雲上男子
六月 照屋仁屋[印]
同杣山仮筆者
黒嶋仁屋[印]

現代語訳

「証文」

屋敷地一囲(ひとかこい)。長さ21尋、東側11尋、西側12尋

ただし、代償として米10俵先。

上記の屋敷は、上納米と他人から借りた分が多量にあり、その弁済が完全に行き詰まってしまっ

たので、但し書きにあるように、米10俵先で確実に売却いたしました。前述のように生活が逼迫

し蔵元のご助力を蒙りました事情がありますので、子々孫々に至るまでこの屋敷を取り返すよう

な望みは、けっして抱きません。よって、証文を書きました。

同治14年亥年(1875)

6月

大川村松茂氏故人石垣仁屋嫡子

具志仁屋。



前述のように、屋敷は確実に売却しました。もし将来において、この屋敷を取り返そうとする企

てが有りましたなら、この者(具志仁屋)が居住する屋敷と、私たちが居住する屋敷のうちのどち

らでも、お望みのままに押収していただいても口答えいたしません。以上。

同治14年亥年(1875)

6月

口入役故佐久川親雲上男子

照屋仁屋

同役杣山仮筆者

黒嶋仁屋





※註:1尋は6尺、約1.8メートル。

最終更新日 / last updated date

引用の際には以下の情報を参考にご利用ください。

『証文〔屋敷譲渡証文〕(しょうもん)』宮良殿内文庫MI195(琉球大学附属図書館所蔵), https://doi.org/10.24564/mi19501