伊波普猷文庫 / Iha Fuyu Collection
伊波普猷文庫は、106 点161 冊。内訳は、資料88 点、刊本18 点。寄贈当時の簡易目録は、「伊波普猷文庫目録-琉球大学附属図書館蔵」(『沖縄文化』第38 号 昭和47 年)をご覧下さい。伊波の旧蔵資料であること、恩師である田島利三郎、友人の真境名安興から譲り受けた資料があること、古琉歌集、語学・琉球文学の古文書からなることが特徴です。
伊波普猷文庫にしかない貴重な古文書はいくつもあります。特に有名なのは、1609 年の薩摩による琉球侵入を喜安が書いた『喜安日記』、琉球の最高神女である聞得大君の記録『聞得大君加那志様御新下日記』などがあります。三線の楽譜である『屋嘉比朝寄工工四』は、沖縄県指定有形文化財に指定されています。また、恩師田島利三郎から譲り受けた琉球の語学関係のノートや古文書の写本などが、このコレクションの特徴となっています。
伊波普猷(1876.3.15-1947.7.9)
言語・文学・歴史・民俗などを総合した沖縄研究の創始者で、沖縄学の父とも呼ばれます。
伊波普猷は、那覇西村の士族の家に生まれました。物外(ぶつがい)と号しています。実弟は伊波月城。また、恩師は田島利三郎(おもろ研究の先駆者)、友人に真境名安興・東恩納寛惇(共に沖縄学の研究者)がいます。1973 年、伊波の学問的業績をたたえ、沖縄研究を振興する目的で伊波普猷賞(沖縄タイムス社主催)が設けられています。
伊波普猷は、「おもろさうし」をはじめ多くの研究成果を残し、これらは沖縄学の基礎となっています。それらは『伊波普猷全集』でじっくりと味わってみてください。
伊波はフェミニストで、女子教育の必要性を強く訴えていました。また沖縄の言語・風俗・習慣が日本風になるべきだと主張していました。
伊波が大事にしていたコレクションは、御遺族の理解と仲宗根政善先生のご尽力により、1955 年 11 月 17 日Rockefeller Foundation の援助で当館へ納められました。寄贈の経緯は、仲宗根政善『石に刻む』(沖縄タイムス社 1983年)をご覧下さい。冬子夫人は「琉球大学に伊波文庫として永久に保管してもらいたい」と述べています。